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明日は良い日 ~Hope For Tomorrow!~
キュアラブリー「世界に広がるビッグな愛! 現れろ《No.11 ビッグ・アイ》!」
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遊戯王GXへ、現実より:第15話 青春
「アカデミアよ、私は帰って来たーッ!」
『それ好きだよねー、遠也』

 本土からアカデミア島へと航行するフェリーに揺られること数時間。
 少々酔ってしまったものの、それもこの大地に降り立ったことでスッキリ解消だ。
 とりあえず、帰ってきた際には言わなければならない定番の言葉を言うことが出来て、とりあえずは満足だ。さて、早速俺の部屋に行くとしますかね。
 俺は荷物を手に持つと、逃げるようにその場を走り去る。だって、俺を見る視線が凄かったからね。諸々の理由から。




 そういうわけで真っ先に寮に向かって荷物を置いた俺は、私服から制服に着替えてレッド寮へと赴く。
 レッドの寮は古き良き木造モルタル2階建て。一度も住んだことはないのに、奇妙に親近感を感じてしまうのは、入り浸りすぎたせいだろう。
 まぁ、友人が三人もこの寮の所属だから仕方がない。おかげでブルーの生徒なのに、レッド生徒にはすこぶる評判がいい俺である。そのレッド生も、今は遠巻きに俺を見ているが。
 それは気にせず、俺は十代たちの部屋の扉を叩く。そして、返事を待つことなくドアを開ける。良い子はマネしちゃいけない行為だが、どうせ中にいるのは男三人なんだ。それほど問題でもないだろうさ。

「よーっす、三人とも。久しぶりー」

 言いつつ玄関先から中を見れば、そこには見慣れた十代と翔、隼人の姿。
 三人は突然開いたドアに驚いていたが、そこに立っているのが不審者ではなく俺だとわかると、表情を崩して駆け寄って来てくれた。

「おー、遠也! 帰って来てたのかよ! 随分久しぶりな気がするぜ!」

 そしてそのまま、バシバシと俺の肩を叩く十代。
 それに続き、翔と隼人も声をかけてくる。

「おかえり、遠也くん! なんだか新鮮だなぁ、遠也くんの顔を見るの」
「そうなんだな。もうかれこれ2週間は会ってなかったからなぁ」

 そうか、もうそんなになるのか。
 隼人の言葉に頷きながら、俺は十代の頭を軽く殴る。バシバシ叩きすぎだ。痛いっての。
 しかし、へへ、と笑ってへこたれない十代。冗談で済ませられるからこそ俺も殴ったわけだから、まぁその態度は予想通りだ。
 しかし、その次の言葉はさすがにちょっと予想外だった。というか、そうでないことを願っていたというか。

「お、そうだ遠也! デュエルしようぜ! あのスッゲーかっこいいドラゴンさ、あれ見せてくれよ!」

 ぎゃー、やっぱり見てましたか十代も。ということは、翔も隼人も見たということだろう。ああ、船の中から視線が鬱陶しかったから、ひょっとして十代たちも見てるかもとは思ってたけど……。
 そんな俺の心の中の呟きを露知らず、十代は楽しそうに笑う。

「まさかテレビで遠也を見るとは思わなかったぜ! しかもペガサスさんとデュエルだもんなぁ! 羨ましいぜ!」

 心底そう思っているとわかる顔で言う十代と、同じく隣で羨ましそうにしている翔と隼人。
 やはり、ペガサスさんは誰にとっても特別な存在なのだろう。

「けど、ビックリしたよ。突然大徳寺先生に呼ばれるから行ってみたら、テレビに遠也くんが映ってるんだから」
「だな。でも、シンクロ召喚はやっぱり凄かったんだな。さすが遠也だったぞ」
「いやぁ、ははは……」

 三人のそんな言葉に、苦しげな笑みを見せる俺。
 あの時は周りに何があるのかとかを、一切無視してデュエルに集中してたからなぁ。まさかそんなことになるとは思ってなかったんだよね。


 説明すると簡単なことだ。あのイベント会場には、テレビカメラがあった。つまり、そういうことである。
 あの時には観客の存在こそ意識にあったものの、テレビのことなどすっかり忘れていた俺である。
 つまり、俺はテレビの前でペガサスさんとデュエルし、その中でスターダスト・ドラゴンも召喚したことになるのだった。
 それもあの時のテレビ、全国放送だったらしく、それはもう広い範囲に広がってしまっている。そのせいで、アカデミアに向かうフェリーの中では俺を見る目が多いのなんの。やっぱり、あのイベントはかなり影響があったようだ。
 事実、次の日に新聞やニュースを見ると、あのイベントのことが取り上げられ、シンクロ召喚についての特集まで組まれていた。元の世界では考えられなかった事態である。
 しかもどこから情報を掴んだのか、《スターダスト・ドラゴン》が世界に1枚しかないカードということまでデカデカと表示しやがってからに。その他にも五体の竜があるらしく、それらと併せて“特別なドラゴン”である、と書かれていた。喋ったの誰だ。
 そして、そういった特集の際に使われるのは、当然スターダストを実際に召喚し、アカデミア以外の公の場で初めてシンクロ召喚を使った俺の映像となるわけで。
 結果、俺が自宅のテレビの前でお茶を噴くことになったわけである。
 気管に詰まり、マナに背中をさすられ、十分を費やして落ち着きを取り戻したことが懐かしい。
 起きてしまったことはもう仕方がないので、それからは極力気にしないようにして過ごしていたわけなのだが。やはり、デュエルの専門学校ともいえるアカデミアに近づくにつれて、視線が増えるったらなかった。
 アカデミア残留組は見ていないかも、とちょっと期待していたのだが……がっつり見ていたようで、残念である。

『カッコよかったから、いいじゃない。あ、言ってなかったけど、ちゃんと録画もしてあるからね!』
「なにしてくれとんじゃ、お前はぁぁああ――ッ!」
「なんで急に怒鳴られるんスか!?」

 偶然正面にいた翔がビックリしつつ疑問を呈す。
 正直スマンが、それよりもマナがしでかしてくれたことのほうが大問題である。
 俺は一旦三人から距離をとり、小声で会話する。

『いいでしょー。カッコよかったから、残しておきたかったんだもん』
「子供の学芸会を撮影する親かお前は! 恥ずかしいから帰ったら消しなさい!」
『えー……。交換条件を飲んでくれたら、考えてあげるよ』
「交換条件? そこはかとなく嫌な予感がするが……どういう条件だよ」
『本棚の奥と机の引き出しの下に隠してあるやつ処分して?』
「………………」
『………………』
「………………よし、消さなくてもいい」
『そうくるのはさすがに予想外だったよ!?』

 ばっか、お前。高校生男子にとってアレは何物にも代えがたい価値を持つんだぞ。
 いくらなんでも処分することなど出来るはずもない。苦労して手に入れてきたお宝達に申し訳が立たないだろうが。

『うわぁ。最低だよ、遠也……』

 ふん、何とでも言うがいい。
 男という生き物は、エロのためなら時に自身を犠牲にすることすら厭わないものなのだ。
 ふふん、と一人虚空に向かってドヤ顔をしているように見える俺に、翔は呟く。

「……ペガサス会長と知り合いで、テレビに出ててもさ。変わってないね、遠也くん」
「なんか、安心したんだな」
「ああ。相変わらず仲がいい二人だぜ」

 二人? と翔と隼人が十代の発言に首を傾げている間。
 俺とマナは変わらずそのやり取りを続けていた。

『まぁ、今度帰った時は家族会議だけどね』
「結局!? それに家族じゃないし、突っ込みどころ多いな!」

 ……そんなわけで、アカデミアに帰って来た俺たちであった。マル。




 さて、帰ってからしばらくはまた注目の的となった俺だったが、前回の経験からスルースキルを磨き上げた俺は、そんな追求をことごとくスルーしていた。
 視線の鬱陶しさはどうにもならないが、それ以上入りこんでくるなら、俺はシカトすることすら厭わないぜ。
 幸いカイザーと同等の実力と思われていることと、あのペガサスさんに勝ったということで、無理なアンティルールを迫られることもない。世界に一枚しかないカードに興味はあるようだが、俺が召喚した時に見るぐらいで我慢してほしい。

 そんなこんなで、そこそこ平穏を保てるようになっていた、そんなある日。
 その日は、体育の授業でテニスをしていた。どういう理由からテニスを授業内容に選んだのかは謎だが、とにかくそうなのだから仕方がない。
 ちなみにオシリスレッドとブルー女子、ブルー男子とラーイエローでスタジアムを二分する形で行っている。まぁ、生徒数がそこまで多くないからこそできる芸当だと言える。
 そんなわけで、俺は三沢とネットを挟んで向かい合い、適当にパコーン、ポコーンとラリーをしていた。やる気がないのがバレバレだが、教師の目が届いているわけでもないし、ちょっとぐらいいいだろう。

「へぇ、意外と運動神経もいいんじゃないか遠也」
「お前ほどじゃないよ。さっきの本気サーブ、なんだよあれ。波動球?」
「ふっ、自分の身体の全てをコントロールし、その力を無駄なく行き渡らせ、その軌道と相手の動きをデータに基づいて計算すれば、容易いことだよ」

 ……もうお前、なんでデュエリストやってんだよってレベルだぞソレ。
 計算であんな球を打って正確にコントロールできるとか。変汁大好き眼鏡のノッポか、ベイビーなステップの優等生じゃないんだからさ。
 そんなくだらない会話をしつつラリーを続けていく。すると、にわかにレッドとブルー女子のほうが騒がしくなってきた。
 何かあったのか、と顔を向ければ、何故かクロノス先生が倒れて悶えていた。
 何が起こったんだ一体。誰かが打った球でも当たったのか?
 しかし、クロノス先生が被害をこうむる原因となると、俺の頭には一人しか出てこないんだが。まさか、今回もそうじゃないよな?
 と思っていると、起き上がったクロノス先生が肩を怒らせて十代に詰め寄っていた。おいおい。

「ははは、話題に事欠かないな1番君は」
「確かに」

 俺は三沢の言葉に苦笑し、あとで話を聞きに行こうと考えるのだった。




「完全にとばっちりだぜ、まったく!」

 そう言ってトレーニング・ウェアを着てスタジアムに向かうのは、不満たらたらの十代である。

「まぁ、聞く限りでは確かに十代に非はないよな」
「だろ!? くっそー、クロノスめぇ」

 ぐぬぬ、と唸る十代に俺はまぁまぁと慰めに回る。
 話を聞いたところ、十代が打ったボールが明日香に当たりそうになったことが切っ掛けだったらしい。
 それを割り込んできた先輩が見事に打ち返し、明日香への直撃は防いでくれた。しかし、そのボールは咄嗟だったためかコントロールが甘く、結果として偶然クロノス先生に命中した、というのが真相だったようだ。
 切っ掛けは確かに十代かもしれないが、直接の原因はその先輩だ。とはいえ、それも明日香を守ろうとした行為なわけで。だからこそ、クロノス先生は目の敵にしている十代に的を絞ったのだろうが。
 しかし、十代本人にしてみればたまったものではない。まして、そのせいでこうしてテニス部にしごかれて来いと言われてはな。

「はぁ、もういいや。遠也、これが終わったらデュエルしてくれるって約束、忘れんなよ」
「わかってるって」
「よし! そうと決まれば、少しはやる気が出るぜ! じゃあな、待っててくれよ!」
「いってら~」

 ぶんぶん腕を振り回してテニスコートのほうに向かっていく十代を見送り、俺はそのコートにほど近い席に腰をおろして見学者となる。
 やる気が感じられなかった十代だが、これで少しは気持ちも楽になるだろう。嫌々やり続けるより、これが終われば……と考えたほうがまだマシになるはずだ。
 そう思って、十代には抜群に効果を発揮するエサデュエルを用意したのだ。さすがに何も無しじゃ可哀想だったからな、被害者みたいなもんだし。
 そんなことを考えていると、不意に俺の横に現れる気配。横目で見れば、またしてもブルー女子の制服を着たマナがそこに実体化していた。

「おいおい」
「いいでしょー、あんまり人もいないしね」

 悪戯気に笑って言うと、マナは俺に肩を寄せ、テニス部の部長にしごかれる十代を見る。
 俺も、まぁいいかと思って同じく視線をコートに戻した。
 なんだか嫌に暑苦しい台詞を連発しながら、十代にボールを打ちこんでいく部長さん。……なんか、元の世界にもいたな。妙に暑苦しいテニスプレイヤー。地球温暖化の原因とまで言われるほどの人が。
 どことなく、その人を彷彿とさせるなぁと、昔を思い出しながらその様子を見やる。すると、見学者が俺しかいないのが目立ったのか、こっちに目を向ける部長。
 無難に会釈を返す俺と、にっこり笑顔を見せるマナ。そして、明らかにマナを見てだらしなく表情を緩める部長。……まぁ、気持ちはわかるけどさ。
 それはさておき、十代はもうヘトヘトだというのに、手を止める気配がない部長さん。
 あの人はアレだな。指導者に向いていないタイプだ。その人にとってどんな方法が一番有効なのかを考えずに、自分が提示した方法が最高だと思い込んで突っ走るタイプ。十代も、厄介な人に当たっちまったもんだ。
 なんて思いながら見ていると、コートにほど近い入口から知り合いが入って来るのが見えた。翔とジュンコ、ももえか。珍しい取り合わせだな。
 っていうか、翔がいるしマナは精霊化してもらったほうが良さそうだ。見つかったらきっとしつこく絡まれる。冬休みに入る前の騒動を俺は忘れていないぞ。

「ってなわけで、時間になりました」
「はーい。ちぇー」

 いささか残念そうに口を尖らせ、精霊化するマナ。それを見届け、俺は観客席からコートに降りるべく、一旦スタジアム内の通路に入る。
 そして一階に降りたところで、偶然明日香とはち合わせた。

「あれ、明日香?」
「遠也じゃない。どうして……ああ、十代の付き添いかしら?」

 思い当たることがあったのか、明日香は途中まで続けてから言い直した。

「その通りだよ。十代に用か?」
「ええ。……そうね、遠也にも話しておいたほうがいいかも。一緒に来てくれる?」
「あいよ」

 明日香の横に並び、一緒にコートのほうを目指す。
 その途中、一体どんな話があるのかその触りだけ聞いてみた。なんでも大徳寺先生からの情報で、万丈目を見かけたという目撃情報が入ったのだとか。
 なるほど。それは確かに俺と十代に知らせようと思うだろうな、明日香なら。
 俺たちが特に万丈目のことを気にしていた二人だというのは、周知の事実だろうしな。
 そんな話をしつつ、スタジアムのグランドに出る。そこでは翔とジュンコ、ももえの三人がしごかれている十代を見ていた。

「あ、遠也くん。アニキと一緒じゃなかったの?」
「一緒に来たんだけど、俺は観客席で見学してた。で、お前らを見かけたから降りてくるところで、偶然明日香と合流したのさ」

 隣に立つ明日香に視線を移し、そう説明する。
 それに成程と頷く翔を一瞥し、ジュンコとももえに尋ねる。

「そろそろ終わりそうか?」
「まぁね。あと10球もないんじゃないかしら」
「ベストタイミングでしたわね」

 二人の言葉を受けて、コートに目を向ける。
 するとその言葉は正しかったようで、1分するかしないかというところで、ちょうどひと段落したようだった。
 部長も手を止め、十代がもう限界とばかりにその場に大の字で寝転んだ。
 しかし、部長としては一旦休み、というだけのつもりのようで、未だにラケットを握っている。
 これは、また再開される前に手早く用事を済ませたほうがいいかもしれない。疲れきっている十代には悪いことをしてしまうが……。
 明日香も同じ考えに至ったのだろう、俺の顔を見て、確認するかのような目を向ける。俺はそれに頷きを返し、揃って十代の元へと向かった。
 そして部長の傍を通る時。明日香に気づいた部長が、声をかけてくる。

「やぁ、明日香君! 嬉しいな。僕に会いに来てく――」

 しかしそこは安定の明日香。ガン無視である。部長哀れ。
 まぁ、そう言いつつ俺も申し訳なく思いつつもスルーさせてもらうのだが。
 そして倒れ込む十代に近づき、明日香が声をかける。

「ねぇ、十代。話があるんだけど……」
「んぁ? なんだよ、話って」

 寝ころんでいた状態から起き上がり、俺たちの顔を見る十代。
 そして、実は、と明日香が話し始めたその時。後ろから大声が上がった。

「君! 皆本遠也君!」
「はい?」

 いきなり背後から名前を呼ばれ、驚きながら振り返る。
 横にいる明日香や十代も、どうしたのかと話を中断させて部長のほうに顔を向けた。

「君は、一体明日香君とどんな関係なんだい!」
「どんなって……友達?」
「ええ、そうね」

 本人の首肯を受け、友達ですけど、と部長に再度向き直る。
 しかしこの部長、全く聞く耳持たずである。勝手に熱くなっていっているのが、手に取るようにわかる。

「君はさっきまで、違う女の子と一緒にいたじゃないか! そのうえ明日香君とまでとは……紳士として、許しがたい!」

 あー、なるほど。マナと一緒にいたところを見られた上に、明日香と隣り合って来れば、そうともとれるのか。
 俺自身が特に何とも思ってなかったから気付かなかった。確かに、二股しているように見えなくもないかもしれない。が、例えそうだとしてもいきなり関係ない第三者から責められるのは、お門違いだと思うのだが。
 あら、マナもいたの? と聞いてくる明日香には肯定を返す。隣で『いましたよー』とマナが手を挙げているが、明日香には見えてないだろうからな。
 しかし、俺に二股をしている事実はないので、何て言えばいいのか分からん。結局、俺は口を閉ざした。すると、それをどう受け取ったのか、部長がラケットを俺に突きつけてくる。

「デュエルだ! 僕と、明日香君を賭けたデュエルをしようじゃないか!」
「ひょ?」
「勝ったほうが明日香君とフィアンセになる! どうだい、受けるかい?」

 得意げに言う部長だが、どうしてそうなるの?
 受けたとしても俺に特にメリットがないし、そもそもフィアンセって勝手に決められるもんでもないし。そこらへん、わかっているんだろうかこの人。
 対して、勝手に自分の名前を出された挙句婚約までさせられそうな明日香は、抗議の声を上げた。

「ちょっと! 勝手に人を賞品のように扱わないでちょうだい!」
「明日香君……オベリスクブルーの妖精のような君に、二股をするような男は似つかわしくない」

 訳知り顔で首を振る部長。しかし、なかなか面白い単語が出てきたな。

「オベリスクブルーの妖精ね。へー」
「な、何よ」
「いいや、何も」

 やはりそんな名前をつけられるのは本人としては嫌なのだろう。俺が復唱して明日香を見れば居心地が悪そうに明日香は顔をそむけた。
 微かに顔が赤いのは、恥ずかしさゆえか。俺がそれを悟ってにやにやしていると、再び部長の声が響いた。

「僕の目の前でイチャつくのはやめたまえ! 遠也君! 受けるのか、受けないのか! 怖いんなら、逃げてもいいんだよ?」
「ふぅん」

 挑発的に言ってくる部長に、さすがに俺も黙っていられなくなってきた。
 そうまで言われて、受けないなんて選択肢はない。別段イチャついていたわけではないが、ここで嫌だと言ったら逃げたと判断するだろう。そして、なんだかこの人の性格的に喜んで吹聴して回りそうだ。
 さすがにそれは御免こうむる。そういうわけで、俺はデュエルディスクを取り出して答えた。

「いいぜ。そのデュエル、受ける」
「そうこなくちゃね」

 そして俺たちはテニスコートのネットを挟んで向かい合う。
 明日香と十代がコートから下がっていく時、明日香が俺に注意を促してきた。

「遠也。彼、ああ見えて亮に勝るとも劣らないデュエルの腕という噂よ。油断しないでね」
「マジか。ああ、サンキュー」

 明日香からのアドバイスを受け、俺は改めて部長を見る。
 危ない危ない。見た目と言動に騙されるところだった。カイザーと同等とも噂されるとするなら、それなりの腕だと見るべきだろう。少なくとも、油断はするべきじゃない。
 手を抜くつもりはなかったが、ここは気を引き締めて全力で臨まなければ足元をすくわれるかもしれない。
 カイザーを相手にする、というぐらいの気持ちで挑むべきだろう

「頑張れよ、遠也!」
「負けるなっすー!」
「……フィアンセってそんな簡単に決めるものなの?」
「同感ね」

 応援する十代と翔に、呆れ顔のジュンコ。そしてジュンコの言葉に賛同の意を示す明日香。ちなみにももえは「顔が良ければOKです、それにそれもまたロマンですわ」と二人の言葉に返していた。訳がわからないよ。
 そんなギャラリーの声を聞きながら、俺はデュエルディスクの開始ボタンを押す。向こうもまた同じくボタンを押し、勝負が始まる。

「「デュエル!」」

遠也 LP:4000
部長 LP:4000

「先攻は僕だよ。ドロー!」

 さて、どんな手で来るのか。カイザーに勝るとも劣らないというからには、初手でいきなりの展開もあり得る。もしくは様子見に徹するつもりなのか。
 注意深く見ていると、部長は手札から一枚のカードをデュエルディスクに差し込み、更にもう一枚手に取った。

「僕は魔法カード《サービスエース》を発動するよ! このカードは僕が手札から選んだカードを君が当てるギャンブルカード。魔法・罠・モンスターから選択し、当たれば効果は無効。だけど、外した場合は1500ポイントのダメージを受けてもらうよ」

 いきなり高い火力を持つバーンカードか。
 初期手札にそんな採用率が低そうなカードを引くとは、引きもそれなりにあると見たほうがいいのかもしれない。先攻ターンは攻撃できないことを考えれば、初期手札にこうしたカードがあることは、効率的ともいえるからだ。
 だが、こうしたバーンカードは特化デッキでもない限りは積まれることは少ない。カイザーに迫るというデュエリストなら、バーン特化というわけでもないだろうから、引きの強さで引いたということだろう。
 なるほど。全力で臨んだほうがいいみたいだな。
 ともあれ、まずはこのカードの処理が先か。

「なら、俺は罠カードを選択する」
「本当に、それでいいのかい?」
「ああ」

 どうせ確率は三分の一なんだ。なら、何を選んだって変わらない。俺はあっちのデッキを何も知らないんだから。
 部長は指で挟んでいたカードをひっくり返す。カードに記された名前は《神聖なる球体ホーリーシャイン・ボール》。

「残念、モンスターカードだ。君が外したことで、このカードを除外し、君には1500ポイントのダメージを受けてもらうよ!」
「くっ……」

 魔法カード《サービスエース》から光るボールのようなものが打ちだされて、直撃する。
 先攻ターンにいきなり1500ダメージとは。これは、本当に油断ならない相手だ。

遠也 LP:4000→2500

15-0フィフティーン・ラブ。僕は更にカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 モンスターはあのカード1枚だけだったのか? それとも誘っているのか……。
 なにはともあれ、俺のターンだ。せっかくこの学園でも上位らしい人を相手にしてるんだ。ここは俺も持てる力を出しきるつもりで挑むさ。

「俺のターン、ドロー!」

 引いたカードを見て、俺は思わずげっ、と声を出す。
 うっかり、ペガサスさんとデュエルしたあとデッキを調整していなかったのを忘れていた。おかげで、このデッキにはシンクロにちなんだカードが様々入ったままになっている。
 くそ、ショッキングなことがあったせいだ。ガッデム。
 その中の1枚、普段のデッキに入れていないカードを引いてしまった今、そのことを思い出したのだから救いがない。
 まぁ、全くシナジーがないカードがあるわけではないから、そう大きな問題ではないだろう。気持ちを切り替えることにする。
 さて、厄介なのは相手のあの伏せカードだろうな。あれが何なのかで話はまた変わって来る。
 そして、相手の場にモンスターがいないというのも油断ならない点だ。初期手札6枚にモンスターが1枚というのもあり得ることではあるが、実力がある人の手札がそうとは考えづらい。
 つまり、攻撃を誘っている。またはあの手札には何かしら対策カード……《冥府の使者 ゴーズ》のようなカードがあるのかもしれない。あるいは、《クリボー》のようにダメージを無効にするカードか。
 そうなると、状況もいろいろ変わって来るだろう。だが、今の俺はまだ最初のターン。手札はいいんだし、その中で可能なことをやりきるだけだ。

「俺は手札から《おろかな埋葬》を発動! デッキから《ボルト・ヘッジホッグ》を墓地に送る。そして《レベル・スティーラー》を墓地に送り、《クイック・シンクロン》を特殊召喚! 更に場にチューナーがいるため、ボルト・ヘッジホッグを墓地から蘇生! 最後に、《チューニング・サポーター》を通常召喚!」

《クイック・シンクロン》 ATK/700 DEF/1400
《ボルト・ヘッジホッグ》 ATK/800 DEF/800
《チューニング・サポーター》 ATK/100 DEF/300

 3体のモンスターが一気に並び、その状況に部長も表情をひきつらせる。本当ならここでレベル・スティーラーを加えることも出来るんだが、この状況では意味がないからやらない。
 ここまで高速展開するデッキは、確かにこの世界ではあまり見かけないだろうから、そんな表情になるのもわかる。

「相変わらず、凄い展開力だぜ」
「ええ。レベルの合計は8……何が来るのかしら」

 十代と明日香の声、それに応えるかのように俺は更に言葉を続けていく。

「いくぞ! レベル1チューニング・サポーターとレベル2ボルト・ヘッジホッグに、レベル5クイック・シンクロンをチューニング!」

 3体のモンスターが飛び上がり、シンクロ召喚のエフェクトが行われる。

「集いし闘志が、怒号の魔神を呼び覚ます。光差す道となれ! シンクロ召喚! 粉砕せよ、《ジャンク・デストロイヤー》!」

《ジャンク・デストロイヤー》 ATK/2600 DEF/2500

 相手に伏せカードがある時には非常に頼れるナイスガイ。それがこの、デストロイヤーさんである。

「ジャンク・デストロイヤーの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、素材となったチューナー以外のカードの数まで、フィールド上のカードを選択して破壊できる! 俺は部長の伏せカードを選択する! 《タイダル・エナジー》!」

 ジャンク・デストロイヤーから放たれたエネルギーが部長のフィールドに炸裂し、伏せてあったカードが起き上がって破壊される。
 伏せられていたのは、罠カード《レシーブエース》。効果は相手の直接攻撃を無効にし、更に1500ポイントのダメージを与えるカード。コストとしてデッキトップから3枚墓地に送るらしいが……なにそのカード。俺のデッキやライトロード等にとっては、メリットしかない。
 しかし、このカードがあったからモンスターを出さなかったのかもしれないな。1500のダメージはかなりの痛手だ。返しのターンで決めることすら可能になっていただろう。
 ま、こうして破壊した以上、その心配はないわけだけど。

「チューニング・サポーターの効果により1枚ドロー! そしてバトル! ジャンク・デストロイヤーで直接攻撃! 《デストロイ・ナックル》!」
「ぐっ……やるねぇ」

部長 LP:4000→1400

 一気にライフが減ったというのに、あまり動揺の感じられない態度をとる部長。
 何か隠し玉でもあるのだろうか? 一応警戒は忘れないようにしよう。

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
「僕のターンだ、ドロー!」

 引いたカードを見た部長は、一枚のカードを手に取った。

「僕は魔法カード《スマッシュエース》を発動! デッキの一番上のカードをめくり、それがモンスターカードだった場合、相手に1000ポイントのダメージを与えるよ!」

 またバーンカードか。
 こりゃ、本当にバーン特化なのだろうか。だとすれば、カイザーに勝るとも劣らないってのは、デュエルタクティクスの話じゃなく、単純に勝率のことだったのかね。
 ライフ4000でバーンに専念すれば、そりゃある程度は勝率も稼げるだろうし。

「一番上のカードは《ゴキボール》! モンスターカードだ! このカードを墓地に送り、そして君に1000ポイントのダメージを与える!」

 再び魔法カードから弾丸のように飛んでくるボール。それが俺に当たり、更にライフが削られる。

遠也 LP:2500→1500

 しかし、やるな部長。まさかゴキボールなんていう、超レアカードを持っているとは。もし部長があれを破り捨てていたら、危うく俺に勝利フラグが立つところだった。
 しかし、元の世界ではゴキボールって絶版だから、本当にちょっとしたレアカード化してるという。まぁ、手に入れても使いどころがないけど、珍しいカードであることは確かだったりした。
 もちろん、この世界では何の特徴もなく手に入れやすい通常モンスターでしかないが。

「更に僕は《伝説のビッグサーバー》を召喚! そしてその効果を発動だ! このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる! いけ、伝説のビッグサーバー! 《ビッグ・サーブ》!」

《伝説のビッグサーバー》 ATK/300 DEF/1000

 ビッグサーバーが右手と一体化しているラケットを振りかぶり、取りだしたトゲつきのボールを打ちつけた。そしてそのボールは狙い違わず俺に命中する。
 それを受けて、俺のライフは再び減少した。

遠也 LP:1500→1200

「更に伝説のビッグサーバーの効果を発動するよ。このカードが相手にダメージを与えた時、デッキから魔法カード《サービス・エース》を加え、相手は1枚ドローする。さぁ、ドローしたまえ」

 歯を光らせながら、爽やかに促してくる部長。
 まぁ、引かせてもらえるんならありがたく引かせてもらおう。
 俺は1枚ドローし、そのカードを手札に加えた。

「いくよ、遠也君。僕は更に魔法カード《サービスエース》を発動する!」
「さっきの1500ダメージを与える魔法カードね……!」
「そんな……これが通ったら遠也くんの負け……」

 部長が発動させた魔法カードを見て、明日香と翔が思わずといった声を上げる。
 他の面々も、このままでは俺が負けるという状況にそれぞれ驚きの表情を見せている。
 負けなし、というわけではないが、俺の勝率はそれなりに高い。こうも早くにここまで追い込まれるとは思ってもいなかったのだろう。
 だが、何も問題はない。俺は動揺もなくディスクを操作して、伏せてあったカードを発動させる。

「その発動にチェーンして罠カード発動! 《シンクロ・バリアー》! 自分フィールド上のシンクロモンスター1体を生贄に捧げ、次のターンのエンドフェイズまで俺が受けるあらゆるダメージを0にする!」

 俺の場のジャンク・デストロイヤーが光の粒子となり、それが円盤状に広がって障壁を形作る。それは俺を守るように前面に展開され、俺はその庇護下に入る。
 普段は他の罠カードを優先するため入っていないカードだが、シンクロ召喚を見せるためには、それなりにヴィジュアルエフェクトもカッコイイので投入していたカードだ。
 効果も決して弱くはない。次のターンまであらゆるダメージを防ぐというのは、優秀だろう。
 ただ、シンクロモンスターをリリースしなければいけないのが少々重く、俺の普段のデッキにはあまり合わないため抜いてあったカードだ。
 それがこうして、きちんと俺を助けてくれるとは。やっぱり、無駄なカードなんてないってことだな。

「くっ……僕はターンエンドだ!」

 部長がここで決められなかったことに、悔しげな顔をしてエンド宣言をする。
 相手の場には伝説のビッグサーバー1体。手札は1枚。
 恐れるものは何もないな。

「俺のターン、ドロー!」

 手札にも必要なカードは全て揃っている。
 俺はカードを手に取った。

「《ジャンク・シンクロン》を召喚! そしてその効果を発動し、墓地のレベル2以下のモンスターを効果を無効にして特殊召喚する! チューニング・サポーターを蘇生!」

《ジャンク・シンクロン》 ATK/1300 DEF/500
《チューニング・サポーター》 ATK/100 DEF/300

「レベル1チューニング・サポーターにレベル3ジャンク・シンクロンをチューニング! 集いし勇気が、勝利を掴む力となる。光差す道となれ! シンクロ召喚! 来い、《アームズ・エイド》!」

《アームズ・エイド》 ATK/1800 DEF/1200

 鋭く尖った赤い指を持つ機械の右手。それがフィールドに飛来する。
 装備カードとして扱う効果が優秀なため忘れがちだが、このカードもレベル4としては高い攻撃力を持っている。アタッカーとして十分に機能するだけのステータスはあるのだ。

「チューニング・サポーターの効果で1枚ドロー! バトル! アームズ・エイドで伝説のビッグサーバーを攻撃! 《ハンズ・オブ・ヴィクトリー》!」

 ハンズ・オブ・グローリーだと、アームズ・エイドがとてもグロい存在になってしまうので、自重しました。霊力のほうならカッコイイのにね。
 そして指示を受けたアームズ・エイドがふわりと浮かびあがり、そのままビッグサーバーの元へと飛んでいく。そしてその赤い指を広げ、一気に振り下ろしてビッグサーバーを引き裂いた。
 無論、攻撃力に歴然とした差があるビッグサーバーにそれを耐えきることはできず。為す術もなく破壊されると同時に爆発し、その爆風が部長を襲う。
 それによって、その差分のポイントが部長のライフに刻まれることなった。

「うわぁああっ!」

部長 LP:1400→0

 ライフポイントが0になったことにより、これで俺の勝ちだ。

「よっしゃ! 部長、いいデュエルだったぜ!」

 実際、追い詰められたのは確かなので、その言葉に間違いはないだろう。
 ダメージ・イーターもいない状況だったし、シンクロ・バリアーがあったのは運が良かったと言う他ない。
 そう考えれば、俺にとってはなかなかに緊迫したデュエルだったと言える。バーンであれ、それは人それぞれの戦略だ。アンチデッキでもないんだし、そこまで嫌うことでもないだろう。
 しかし、俺がそう言葉をかけた部長はというと、何故か両目から大粒の涙を垂れ流しにしていた。
 思わずぎょっとし、目を見張る。大の男が、いきなりどうしたんだ。

「う、うわぁぁぁあああーん! この僕が負けるなんてぇぇええーっ!」

 大声で叫びながら部長は走り去っていく。
 さ、さっきまで自信満々に歯を光らせていた人と同一人物とは思えん。そのいきなりの出来事に俺は何も言うことが出来ず、固まることしかできなかった。
 それは俺だけでなく周囲も同じだったようで、しかしそんな硬直もももえが放った「幻滅ですわ……」の一言をきっかけに復活を果たすこととなった。やはり、いくらももえでも、負けて大泣きして逃げるという行為には受け入れがたいものがあったようだ。
 やれやれ、と思いつつデュエルディスクを片づけて皆のところに向かう。
 そして合流すると同時に、ジュンコが思い出したようにこのデュエルで賭けていたものに言及する。すなわち、フィアンセの一件へ。完全に忘れてましたよ、それ。

「それで、どうするのよ遠也。フィアンセよ、フィアンセ」
「これまたロマンチックですわね!」

 女子二人、好奇心丸出しな顔でこっちを見るな。全く興味がなさそう……というか、理解していなさそうな十代を見習うといいよ。隣の翔に「フィアンセってなんだ?」と聞いているぐらいだぞ。
 けど、流石に十代はいきすぎか。あいつはまず常識について学ぶことから始めるべきなのかもしれない。フィアンセを知らないって……普通はありえないと思うんだが。
 なにはともあれ、そういう条件でデュエルしていたのは事実だからな。一応はそっちについても落とし前がいるってことか。
 仕方なく、俺は明日香の前に立つ。

「明日香」
「な、なに?」

 俺のほうが僅かに背が高いだけなので、ほぼ同じ目線で見つめ合う。さすがに目を合わせ続けることには慣れていないのだろう、微妙に正面を向いていない。
 後ろからキャーキャー聞こえる声は無視。どうせ、そんな色っぽい話でもないんだ。
 俺は明日香の肩に手を置いた。ぴくりと反射的に動いたその身体を気にせず、俺は手を動かして肩を叩く。

「気にしなくていいぞ」
「はい?」
「あんなの、あの部長が勝手に言ったことだからな。本人の了承もないのに、そんなものが成立するわけないだろ」

 言いつつ、もう一度気にするなと言う意味を込めて肩を叩いた。
 すると、明日香は途端に表情を変えて、大きな溜め息をついた。

「……そうね。気にしないことにするのが、一番よね」
「そうそう」

 それはそうだろうと頷きつつ言う俺に、後ろの女子二人からブーイングが飛ぶ。「期待させといてそれはない」「もう少し乗ってくれてもいいですのに」とか。ええい、うるさい。なんでお前らを楽しませにゃならんのだ。
 俺は二人の文句に耳を塞ぎ、十代と翔に声をかける。

「じゃ、帰ろうぜ」
「おう! 次は俺とデュエルだからな!」
「はいはい」
「ホントにデュエル好きだよね、二人とも」

 その翔の言葉に、俺と十代は顔を見合す。そして、互いに肩を組んで翔の前に立った。

「そんなの」「当然だろ!」

 にっ、と笑って言ってやれば、翔も二人らしいや、と笑った。
 そしてそのまま俺たちはスタジアムを後にする。後に残った明日香が俺たちの後ろ姿にもう一度溜め息をついたことには気づかずに。

「はぁ……ホントにもう」

 それが何に対してで、どういう意味なのかは明日香本人にしか分からない。
 結局その後女性陣三人もすぐにスタジアムを出て寮に戻ったらしい。
 その頃、俺は十代に捕まっていたから、詳しくは知らないけどね。




「もう一回! もう一回デュエルだ、遠也! 今度は勝つ!」
「離せ十代! 夕食に間に合わなくなるだろ! いくらデュエルが好きでも、メシ抜きは嫌だ!」

 そんな俺と十代の攻防を、翔と隼人、マナは生温かい目で見ていた。いや、お前ら助けろよ!

 ――最終的に。俺はきちんと夕食に間に合った。しかし、息を切らしての滑り込みセーフだったため、その場にいたカイザーにかなり怪訝に思われたのは言うまでもないことだった。



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コメント
コメント
《|神聖なる球体《ホーリーシャイン・ボール》》
ここの部分タグができてません。
2012/08/10(金) 02:47:02 | URL | 金属の歯車 #oM6tt0T6 [ 編集 ]
>金属の歯車さん
ご指摘ありがとうございます。
ルビタグ忘れですね、確かに。
早速修正いたしました。
2012/08/10(金) 02:50:36 | URL | 葦束良日 #pU0LBAj6 [ 編集 ]
ありゃ?
フィアンセ云々なら
てっきりマナが出てくると思ったんだがなぁ
2012/09/20(木) 20:14:59 | URL | 名無しの閲覧者 #- [ 編集 ]
>名無しの閲覧者さん
ここは特に変える必要もないかなと考え、原作の流れに沿わせました。
今後少なくなってくる明日香単独のイベントですしね^^
2012/09/21(金) 01:13:45 | URL | 葦束良日 #pU0LBAj6 [ 編集 ]
|エサ《デュエル》
の部分がルビになっていないです。

波動球が通じるということはこの世界にもテニプリ、ひいてはジャンプが存在しそうですね。
2012/11/24(土) 05:50:48 | URL | マシュマロン #/02qLiNA [ 編集 ]
RES
>マシュマロンさん
修正しました。
テニプリはどうですかね……。主人公の「波動球」という単語に三沢は反応したわけではないので、実際に存在するのかは定かではないですねー。
2012/11/24(土) 23:38:47 | URL | 葦束良日 #pU0LBAj6 [ 編集 ]
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